ダイヤモンド MD0041
Carat(重量) | 0.14ct |
Size(寸法) | 4.55×2.89-1.89 mm |
Quality (品質) | GEM( G - VS ) |
Fluorecence(蛍光性) | None |

ダイヤモンドの特徴
昨夜は、京の夏の終わりを告げる「五山の送り火」が無事開催されました。「五山の送り火」は、お盆に迎えたご先祖様の霊を送りだし、無病息災を祈る京都の恒例行事です。私は静かに手を合わせ、精霊を送るための船と云われている「舟形」の灯が消えていくのを眺めていました。さて「今日のダイヤモンド」は、MARQUISE-CUT(マーキス・カット)のダイヤモンドです。1745年、フランス王のルイ15世はポンパドール夫人にマーキス(侯爵)の称号を与えました。その頃、パリに現れた舟形のダイヤモンドを、ポンパドール侯爵に敬意を表して、マーキスと名付けたのです。ルビーやサファイアなど、他の色石に比べてダイヤモンドにマーキス・カットが多いのは、オーバル・カットに比べて小粒でも輝きが強いからでしょうか。多くの小粒のマーキスは、「今日のダイヤモンド」のように4×2㎜前後の大きさに仕上げられます。更に小粒の3×1.5㎜も生産できますが、このサイズでは小さすぎるため、幾ら研磨の質を高めてもダイヤモンドの命である美しい輝きは得られません。そしてマーキスの形自体も曖昧になってしまいます。宝石にはサイズや形(シェイプ)による最適なカットが存在するのです。現在小粒のマーキスの研磨は、インドが中心です。さてそれでは、「今日のダイヤモンド」の特徴(個性)を観ていきましょう。重量は、0.14ct。寸法は、最長4.55㎜、最短2.89㎜、深さ1.89㎜。カラーグレードはGカラー。クラリティ(透明度)はVSクラス。熟練の鑑定士が10倍に拡大して特徴(個性)等が発見できる程度のため、肉眼で確認することは難しく、「今日のダイヤモンド」も肉眼ではインクルージョン(内包物)をみつけることはできませんでした。そこで顕微鏡で40倍に拡大してダイヤモンドの内側の世界を覗いてみることにしました。するとダイヤモンドをフェイスアップ(ダイヤモンドを上から見る)で見ると、テーブル面(ダイヤモンドの一番上にある8角形の平らな面)に、黒く見える内包含有物CARBON SPOT(カーボンスポット)が発見できました。通常、カーボンはダイヤモンドの美貌を大きく損ねるため、クラリティグレードに及ぼす影響は大きいのですが、「今日のダイヤモンド」のカーボンは、肉眼で発見できるほど、大きくないため、輝きに影響を及ぼすものではありません。ダイヤモンドが結晶する時に取り込まれた鉱物です。それはダイヤモンドの来歴を知る天然の証です。「今日のダイヤモンド」は、小粒ですが、立派なジェムクオリティのダイヤモンドです。◇出典(参考文献)諏訪恭一「宝石」品質の見分け方と価値の判断のために 世界文化社