ダイヤモンド MD0055
Carat(重量) | 0.01ct |
Size(寸法) | 1.5mm |
Quality (品質) | GEM( G - VS ) |
Fluorecence(蛍光性) | NONE |

ダイヤモンドの特徴
今朝は9月らしい気候で、北から吹く風も少し秋の気配が感じられるようになりました。さて、今日も一石のダイヤモンドの個性を観ていきたいと思います。「今日のダイヤモンド」の重量は、0.01ct。直径1.5㎜の小粒のメレー・ダイヤモンドです。このように極めて小さなダイヤモンドも、1ctの大粒のダイヤモンドと同じ58面にカットが施されています。確かに、1ctを超えるダイヤモンドの煌めきは、素晴らしい存在感があり、観る人の心を魅了する輝き方をします。「今日のダイヤモンド」のように、小粒のメレー・ダイヤモンドは、数石まとめて構想(デザイン)されるジュエリーに使われたり、メインとなる宝石の脇役であったりします。現在市場にある殆ど全てのジュエリーに、メレー・ダイヤモンドが使われていることから、宝石を語る時に忘れてはならない存在です。さてルースケースからダイヤモンドを取り出して、輝き方をみていきたいと思います。リングにしても、ネックレスにしても、人の動きによってダイヤモンドは、煌めき始めます。ルースケースに入っている時は、静かなダイヤモンドも、ピンセットで挟み、朝陽にかざしながら動かすことで、小さいながらもその煌めきは、他の無色透明の宝石を代表するだけの特別な輝き方をします。では、この美しく輝くメレー・ダイヤモンドの内側の世界を顕微鏡で80倍に拡大して覗いてみましょう。ダイヤモンドをフェイスアップ(上から)で覗いてみると、そこには、想像していなかった光景が広がっていました。肉眼では全く発見できなかった無数のクリスタルインクルージョン(結晶内包物)が、この極小さなメレー・ダイヤモンドの中に存在していたのです。遥か昔、このメレー・ダイヤモンドが結晶する時に、内部に取り込まれた結晶を観ていると、自然が創り出した宝物だということを実感します。直径2㎜にも満たない、極小さなダイヤモンドですが、私たち人間よりも遥か昔に誕生し、今後、時と場所を超えて永遠に存在していく宝物です。このダイヤモンドにとって私たちと一緒に歩む時間は、ほんの一瞬のできごとのようなもの。昨年、東京上野にある国立科学博物館で開催された特別展「宝石~地球がうみだすキセキ~」で、古代エジプト、3750年前のスカラベの形に研磨された宝石の指輪を拝見しました。何千年も世に変わらない姿で、持った人のことを後世に伝えるものは、宝石の他に存在するものはあるのでしょうか?そう考えると、この小粒のメレー・ダイヤモンドを、敬う気持ちになります。