マーキスカット・ダイヤモンド 無処理

マーキスダイヤモンド1

マーキスカット・ダイヤモンド 無処理

 

マーキスの名は、ポンパドール伯爵に由来しています。このファンシーシェイプは、小粒でも輝きが強いものとなります。

1745年、フランス王ルイ15世はポンパドール夫人にマーキス(候爵)の称号を与えました。その頃パリに現れた船形のダイヤモンドを、ポンパドール候爵敬意を表して、マーキスと名づけたのです。ダイヤモンドの研磨業者は、マーキス、ペアシェイプ、オーバルを、同じような形の原石から研磨します。効率よく目減りを少なくしたり、悪い部分を取り除いたりするのが目的です。形の割合はサイズによって異なっていて、ある業者は、研磨上がりが0.25カラット以下であればその3分の2を、0.3カラットを超えると約半分をマーキスの形にカットします。そして2カラットを超えると、マーキスをほとんど作らず、ペアーシェイプが手掛けられます。ルビーやサファイヤでは、オーバルが絶対多数であるのと比べ、ダイヤモンドにマーキスが多いのは、オーバルに比べて小粒でも輝きが強いからでしょうか。多くの小粒のマーキスは、4×2ミリ前後の大きさに仕上げられます。さらに小粒の3×1.5ミリも生産できますが、このサイズでは小さすぎるため、いくら研磨の質を高めてもダイヤモンドの命である美しい輝きは得られません。そしてマーキスの形自体も、あいまいになってしまいます。3.5×1.8ミリがマーキスの美しさを引き出す下限と私は考えています。直径1.2ミリという小粒のラウンドでは、フルカット(58面体)よちシングルカット(18面体)の方が強く輝くことからもわかるように、宝石にはサイズや形(シェイプ)による最適なカットが存在するのです。現在小粒のマーキスの研磨は、インドが中心です。マーキスは同一カラットのほかの形より大きく見えますが、カットが浅すぎたち深すぎたりするものや、キューレットが長いものは、石の中心に蝶ネクタイのような黒い部分が目立ちます。

ここまで

– 諏訪恭一 決定版 宝石  世界文化社 2013年より引用- 

戦前から続く宝石商に生まれ、ダイヤモンドをはじめ各色石について、宝石の美しさとそれぞれの価値の差について、著書「宝石」シリーズを始めとする多数の著書にて教示解説し、啓蒙活動をしてこられた諏訪恭一氏ですが、宝石業界に携わっている方なら知らない人はいないでしょう。また諏訪氏は今年の2月~6月まで上野の国立科学博物館で開催された「特別展 宝石 地球がうみだすキセキ」を監修し、モリスからも6ctのミャンマー産天然無処理ルビーを展示協力致しました。これも諏訪氏のご推薦なくしては成しえなかったことです。

特別講演開催決定

2022年8月21日(日) (13:00~15:00国際文化会館)

この度、モリスでは諏訪氏を迎え、

「時間と場所を越えて受け継がれる宝石」をテーマに、

石品質判定を考案されたいきさつ、

そして実際にどのように使うのか?

実践を交えてご講演頂きます。

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