上部マントルを占める太陽の象徴
・鉱物名(和名) forsterite(苦土橄欖石) | ・主要化学成分 ケイ酸マグネシウム | ・化学式 (Mg,Fe)₂Si0₄ | ・光沢 ガラス光沢~脂肪光沢 |
・晶系 直方晶系 | ・比重 3.3 | ・屈折率 1.64 - 1.77 | ・へき開 明瞭~不明瞭 |
・硬度 7 | ・分散 0.020 |
独特のオリーブグリーンが美しい石。
ペリドットという宝石名は、ラテン語のオリーブのほかに、「宝石」を意味するアラビア語のファリダットとする説もある。オリビン(橄欖石)族のマグネシウムケイ酸塩鉱物。本質的には無色だが、マグネシウムを置き換える鉄が増えると緑色が増し、鉄が多くなりすぎると黒っぽくなる。地か深く、地殻より下にある上部マントルの大部分はペリドットで占められていると考えられている。
古代ローマ人は「夕べのエメラルド」と呼んだ。
産地としては、エジプトのアスワンの東300Kmの紅海に浮かぶザバルガット島(現在のセントジョンズ島)が有名で、3500年以上も前から19世紀前半までペリドットの産地として活況を見せた。ギリシャ人とローマ人はその島をトパゾスと呼び(現在のトパーズとはまったく別物の)そこでとれた石を「トパーズ」と名付けた。一方、緑色の宝石は「エメラルド」と呼ばれていた時期も続いた。古代ローマ人は夕暮れの光すらとらえる明るい色調のペリドットを「夕べのエメラルド」と呼んだ。このためか、ペリドットは長いあいだ、エメラルドと混同されてきた。
クレオパトラのエメラルドコレクションは、今はペリドットだと考えられている。
ドイツのケルンにある「東方の三博士」の豪奢な聖遺物箱の頂点に飾られた200カラットのペリドットは何世紀もの間、エメラルドだと思われていた。エジプトでは紀元前16~14世紀にペリドットのビーズが磨かれていた。古代ギリシャ・ローマに受け継がれ、中世には十字軍によりヨーロッパへもたらされた。◇出典(参考文献)起源がわかる宝石大全(ナツメ社)