ルビーは「原産地」、産出した場所が重要な意味を持つ宝石。
欧米の高級美術品のオークションSotheby’sなどでも、ミャンマー産(ビルマ)とその他の産地では落札価格が大きく違う。その理由は、結晶したときに環境の違いである。ミャンマー産ルビーは、接触変成岩起源、大陸と大陸がぶつかる境目で起こる環境。その他には、スリランカ等にみられる広域変成岩起源、タイランドやケニアなどのアフリカ産に多い玄武岩起源。ルビーの産地では、大きく分けて、① 玄武岩起源② 非玄武岩起源の二つに分けられる。鑑別業者の発行する分析結果報告書には、そのどちらかで表示されることが多い。要するに、黒っぽい岩の中で結晶したもの玄武岩起源であり、それ以外の環境で結晶したものを非玄武岩起源という。
それでは、違いをどのように見分けるのか?
一番簡単な方法は、435nmの紫外線ライトを使って、そのルビーが鮮やかな赤色に反応すること。まず最初に、タイランド産(玄武岩起源)に紫外線を照射したときの反応。次に、ミャンマー産(非玄武岩起源)に紫外線を照射した時の反応。このような違いがある。

自然光の下でみたルビー

紫外線を照射した時 左はタイランド産 右はミャンマー産
この違いは、ルビーの成分分析をすれば分かることであるが、原産地の違いによってルビーを赤くするクロムと鉄の含有率が違う。蛍光性の高いルビーは、クロムが多く、鉄分の含有率が低い。ミャンマー産に多い。対してタイランド産は、多くの場合、鉄とクロムが同じぐらいの割合で含有されている。紫外線にあたると鮮赤色に反応するのは、クロムに反応しているから。余談になるが、コロンビア産のエメラルドの緑色の着色要因は、ミャンマー産ルビーと同じくクロムであるために、紫外線を照射すると赤く蛍光反応がある。緑色のエメラルドが鮮赤色に反応するので驚く。
さて、宝石ルビーを90年以上研究しているスイスのGUBELIN宝石研究所のダニエル所長いわく、歴史的に価値が高いといわれる有名なルビーは、みな、蛍光反応強かった…とのこと。宝石の産地は、ルビーの価値に大きく影響を与えるので、しっかりと確認しておきたい。
関連記事