プロポーションの良いペアーシェイプ(梨型)、青色と赤色の色調のバランスがとてもよく、顕微鏡で結晶の内側を覗いてもほとんど何も見えないぐらいの透明度の高さ(小さなカルシウムと思われる結晶、糖蜜状組織は確認できますが…肉眼では全く見えないレベルです)、彩度が素晴らしい天然無処理で美しいミャンマー産ルビーです。このルビーは、ミャンマーで一番北側カチン州の州都ミチナ―から、ヒスイで世界的に有名な鉱山パカンへの途中にあるナヤン(Nam-Ya)という村(ルビーが産出しなければ、細い山道の途中にある休憩所のような村だったと思います)にあるルビー鉱山をモリスのイエッチョーが発掘したものです。ちょうど採掘を始めた頃にクンザイン鉱区#14から産出したルビーの原石です。ヤンゴンにあったモリスの研磨工房で職人のゾーミンチョーがペアーシェイプに磨いてくれました。宝石品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさは「A」輝きがあり美しいもの、透明度は驚くほど高いものの、すこし青味が強い色調であるためです。色の濃淡は「#4」、品質で3つのゾーンに分けた場合は、ジュエリークオリティ(高品質)です。サイズは、縦5.2㎜/横3.5㎜/深さ2.4㎜、重さは、0.36ctです。重さを考え合わせると大きく見えて存在感があります。インクルージョンの写真をご覧いただきたいのですが、小さな結晶インクルージョンに加えて、糖蜜状組織の写真がありますが、この糖蜜状組織とは、ルビーの結晶の中に見えるハチミツと水をいれてかき混ぜた時のような景色のことです。ルビーの中によく見られるのですが、同じ鉱物であるブルーサファイアの中には、糖蜜状組織は見られません。このことから、ルビーの着色要因である「クロム」の含有のムラではないかと考えられます。そして、このルビーに内包されている糖蜜状組織は、ナヤン産ルビーに多い種類のモノで、モゴック産ルビーのそれとは明らかに違います。産出量が年々減ってきているナヤン産、それも鉱区からダイレクトに届くルビーは、貴重です。