天然無処理で美しい、小粒で、長細いオーバル型のピンキッシュルビーは、ミャンマー最北部カチン州にあり、空港のあるミチナーという町からオートバイで6時間ぐらい山岳地帯に入ったところにあり、途中のモーガンという村からは舗装された道さえない山道を4時間走ったところにある秘境、幻のルビー鉱山ナヤン(Nam-Ya)で発掘されました。元々の原石の形を活かしファセット(切子)面をつけて磨きました。クラウン(上側)はスター、そしてパビリオン(下側)はステップをつけたミックスドカットです。サイズは、縦4.5㎜/横2.9㎜/深さ2.0mm、縦横のサイズと深さのバランスはちょうどいいのですが、上述の通り長細い形です。0.24ctと重さのわりには、見た目が大きなピンキッシュルビーです。少し青みを帯びたピンキッシュな色調と高い透明度、そして彩度の高い結晶を顕微鏡で内側を覗くとナヤン産らしい細く繊細なシルクインクルージョンが薄っすらと内包されています。珍しい点は、ナヤン産ルビーのシルクインクルージョンは、虹色に輝くことが少ないのですが、このルビーの場合は、モゴック産のような虹色が見えてきます。さて、このルビーを宝石品質判定のクオリティスケール上でみた場合、美しさは「A」輝きがあり美しいもの、そして色の濃淡は、ルビーとしては淡い「#2」、品質を3つのゾーンに分けた場合、アクセサリークオリティ(宝飾品質)になります。ここでお伝えしておきたいのは、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーのクオリティスケール上で見た場合に、色の濃淡が淡いことからアクセサリークオリティになるわけで、ピンクサファイアとしては最高級のジェムクオリティだということです。鑑別業者の発行する鑑別書では、ピンクサファイアと表記されるでしょう。モリスではピンキッシュルビーと呼びますが、呼称よりも大切なのは、宝石としての価値であり、品質判定が重要なのは「好きになった」宝石の価値がどのくらいか?ということが分かるところです。