紫と緑を少しずつ帯びた色調と驚くほど高い透明度、結晶の奥から湧き上がってくるキラキラとした輝きが特徴的な天然無処理で美しいミャンマー産ルビーは、ミャンマー最北部カチン州にある幻のルビー鉱山ナヤン(Nam-Ya)で発掘された丸くてコロッと丸い原石をラウンド型のブリリアントカットに磨きました。サイズは、縦横2.9㎜/深さ1.4㎜、重さは0.12ctです。ナヤン鉱山で時々出現する、少し硬い感じのするキリッと引き締まった感じが特徴的なルビーです。今から約20年前に、ミャンマー産ルビーの研究をするために「ルビー研究所」を設立した時にリーダーになっていただいた元ヤンゴン大学の地質学者であり鉱物博士であった故ミンカイ教授が「ナヤン産ルビーの中には、硬度が明らかにモゴック産よりも高いルビーがある…その理由は、ザガインフォルト(ザガイン活断層)の終点にホーステールと呼ばれる断層の層があってそこの地下はモゴック産ルビーよりも結晶する時の圧力が高いかも知れない」とこの質のルビーを見せてくれたことを思い出します。その時も、顕微鏡で拡大し、このルビーと同じような細くシャープな感じがする特徴的なシルクインクルージョンを見せてくれました。そしてそのルビーのインクルージョンを観ながら、博士のノートに顕微鏡で見える景色をまるで絵画のように鉛筆で描写されていました。ミンカイ先生は、スイスや英国の宝石研究所がミャンマー産ルビーを研究した時に情報提供、指導をされた「私の人生はルビー」と力説されていた方です。毎日モリスルビー研究所で、ルビーのインクルージョンの撮影、データ収集をして下さいました。モリスが使っている宝石品質判定のクオリティスケールをお見せして「等級付けするためではなく、ルビーを持つ人に事実を説明する道具、諏訪貿易の諏訪会長がまとめられたのです」と答えたら即座に「素晴らしい人格者なんだろうな…一度、お会いしたいね」とおっしゃっていたことを思い出します。ご紹介する前にお亡くなりになったのが心残りです。その宝石品質判定のクオリティスケール上で、このルビーをみた場合、美しさは「A」輝きがあり美しいもの、そして色の濃淡は「#3.5」、品質を3つのゾーンに分けた場合ジュエリークオリティ(高品質)です。この質のルビーを観ると、いつも顕微鏡を覗いてインクルージョンの「絵」を描かれていたミンカイ先生のことを思い出します。