小粒で直径2㎜、メレサイズと呼ばれるラウンド型のピンキッシュルビー、若干の褐色と少しの青味を感じさせるピンク色の色調と、高い透明度に加えて、宝石下部をブリリアントカットに磨いたことで、結晶の奥からキラキラとした輝きが湧き上がってきます。小粒ながら、存在感があります。サイズは、直径2㎜、重さは0.03ctです。宝石品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさは、輝きがあり美しいもの「A」、色の濃淡は、「#3.5」ルビーとしては、やや淡い色で、人によってはピンクサファイアと呼ぶ方もいらっしゃると思います。品質を3つのゾーンに分けた場合、高品質ジュエリークオリティです。インクルージョン(内包物)を顕微鏡で覗くと、カルシウムと思われる結晶インクルージョンが多数確認できます。そして、365nmの紫外線を照射した時の鮮やかな赤色に発色することから、このルビーが、地下40㎞深くで産まれた接触変成岩を母岩として結晶したことが分かります。さて、ミャンマー産ルビーが、なぜ、そんなに特別なのか?という話ですが、宝石ルビーが結晶する時の環境です。ルビーは鉱物的にみると、Al²O³(コランダム)にCr(クロム)やFe(鉄)が入って赤く発色します。地球の地層の浅いところには鉄分が多く、30㎞より深いところにはクロムが多いといわれています。インドやタイランド、アフリカのケニアやマダガスカル、アフリカ産のルビーの場合は、玄武岩起源、地下の比較的浅いところで溶岩などの熱によって結晶していくので鉄分が多いのですが、ミャンマー産ルビーの場合は、太古に生きた生命のカルシウムが海底に堆積してできた岩(鉄分がほとんど含まれていない)が、大陸移動で移動し、他のプレートとぶつかった接合面、沈み込んでいく側のプレートにのって地下深くへ移動したためにクロムの多い層まで潜り込んで、そこで接触変成しているので、クロムが豊富だというわけです。諸説があり、この海の底の堆積岩には、クロムがある程度含まれているから…だもいわれれますが、どちらにしろ、ミャンマー産ルビーが特別なのは、地球の大陸が移動しなければ、そして大陸同士が衝突する環境が無ければ、そして、地下深くへ堆積岩が沈みこまなければ結晶しなかった宝石だということ。そういう環境は地球上にもあまりない…ということです。そう考えると、このルビーが目の前にあるということは、奇跡だと感じるのです。