青味を帯びた色調と淡い色の濃淡、内包物が多いために透明度に難がある天然無処理のパープリッシュなルビー(パープルサファイア)は、ミャンマー中北部の中山間地域にあるモゴック鉱山で産出された原石をラウンド型のミックスドカットに磨きました。サイズは、縦横4.9㎜/深さ3.4㎜、重さは0.68ctとサイズこそ立派ですが、宝石品質判定のクオリティスケール上でみた場合、美しさは「C」欠点はあるが美しいもの、色の濃淡は「#2」、品質を3つのゾーンに分けた場合、アクセサリークオリティ(宝飾品質)です。角度によっては、キラッと天然無処理の美しさを垣間見せるものの、やはりインクルージョンの多さが気になる方にはおすすめしません。美しさに欠ける「D」程ではないものの、ジュエリークオリティ(高品質)のルビーと並べるとやはり見劣りします。そして、分析結果報告書では、宝石名「パープルサファイア」、業者によっては「ピンクサファイア」と記載されるはずで、ルビーと呼称されないでしょう。ただ、品質は高くないものの天然無処理でこの美しさです。手の上に乗せて気に入っていただけたら、お安く手に入れてほしいと思います。よくクオリティスケールの説明すると皆さんは、品質の高いものを選ぶのが良いと思われますが、そうではありません。クオリティスケールは、3ゾーン(ジェム、ジュエリー、アクセサリー)に分けて、それぞれの相場を明確にするための道具であり、好きなルビー、この場合は、パープルサファイア、またはピンクサファイアを選ぶものではありません。好きになった宝石の適正価格を割り出す道具なのです。ルビーの場合は、それが天然無処理で美しいものであれば、欲しい方も多いこと(需要が高い)、そして35マスのクオリティスケールのマス目の4つしかジェムクオリティは無いため(希少性が高い)に高額になってしまいます。しかし、アクセサリークオリティの場合は、その逆で、意外と手にしやすい値段になります。まず、最初に好きかどうか?で選んでいただき、その後で品質の説明を受けて、適正な価格かどうかを確認していただくのが良いと思います。以前にアンティークジュエリーで大切に受け継がれてきた指輪によく似た品質のものを見たことがあります。品質が良い悪いを超越して、その宝石を大切にした人の気持ちを感じました。