ほんの少し青みを帯びたモゴック産に多い色調とハート型がかわいい天然無処理で美しいミャンマー産ルビーは、最高品質が産出されることで世界的に知られているモゴック(MOGOK)鉱山で産出された双晶(二つの結晶がつながった形の原石でハート型に向いている)原石をヤンゴンにあるモリスの研磨工房で磨き上げました。サイズは、大きさが縦3.8㎜/横3.2㎜/深さ2.3㎜、重さは0.22ctと少し小さめですが、明度が高いため存在感があります。品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさの軸で「B」美しいもの、色の濃淡は「#4」です。3ゾーンに分けるとジュエリークオリティ(高品質)になります。このルビーの内なる世界(インクルージョン)を顕微鏡で覗くと、様々な結晶が姿を現します。スピネルと思われる結晶インクルージョンや、パルガサイトと思われるもの、そしてカルシウムの結晶(おそらくカルサイト)等々、モゴック産ルビーのインクルージョンの代表的なものばかりです。ひとつだけ、モゴック産ルビーの代表的なシルクインクルージョンが確認できませんが、時々、そのようなルビーは産出します。さて、このルビーに内包されるスピネルの話ですが、和名が尖晶石とよばれる宝石で、エリザベス女王が掲げる英国の象徴「インペリアルステートクラウン」(王冠)の額の部分についているブラックプリンスと呼ばれ、長い間ルビーと考えられてきた宝石がスピネルだったという話が有名です。ルビーのインクルージョンとして入っているスピネルのほとんどすべては無色透明、ピラミッドを上下に合わせたような形で確認できることが多いのですが、紛らわしいのが、鉱山で採掘している際に、産出する姿が、ルビーとにており、化学組成はMgAl²O⁴、ルビー+マグネシウムで、同じ母岩から産出するためとても間違いやすいルビーの類似石です。違いは、硬度が#8~#7.2、とルビーの#9(モース硬度)よりも削れやすいところです。鉱山で見つけた場合は、太陽にかざすとすぐに違いが分かります。ルビーは結晶を90度ごとに指で回転させるとピンク色/オレンジ色の2色が見えますが、レッドスピネルは、どの方向から見ても同じ赤色です。スピネルは尖った形から尖晶石と呼ばれますが、ムガール帝国で国王が首からペンダントとして使われるなど、(ルビーと混同されていたからですが)願いが叶う宝石として大切にされてきました。さて、このハート型のルビー…品質には、影響しませんが、そういう「宝石言葉」があるインクルージョンが内容されていると思うだけでも嬉しくなってきます。