氷のように透き通った結晶を原石の形に添って磨いただけのモリスSGカットの天然無処理で美しいミャンマー産ルビーは、最北部カチン州にあるルビーの漂砂鉱床ナヤン(Nam-Ya)で発掘され、モリスのヤンゴン研磨工房で前述のとおりモリスの「シンギュラリティカット」に磨きました。シンギュラリティカットとは、天然無処理で美しいルビーの原石の形こそ宝石の美しさであり、人間が考えた既存の形から離れて、結晶の生地をなるべく大きく残そうというスタイルです。ルビーを産出する鉱区で原石を見た時の感動を形にしたものです。ナヤンで産出した漂砂鉱床特有のマットな原石の肌とその奥から蛍光性を発しながらピンキッシュな輝きを放っていました。研磨する前からこの少し青味を帯びた美しい結晶でした。サイズは、縦7.1㎜/横6.4㎜/深さ4.0㎜、重さは1.44ctととても立派な大きさが残りました。原石の時から大きさはほとんど変わっていません。このルビーを宝石品質判定のクオリティスケール上でみた場合、美しさ「A」輝きがあり美しいもの、色の濃淡は「#4」そして品質を3つのゾーンに分けるとJQジュエリークオリティ(高品質)です。このSGカットのルビーは、このままジュエリーに仕立てられていくのですが、通常であれば、このルビーはクッション型のルビーに磨かれて1ct前後の大きさで指輪などに仕立てられるので、皆さまがイメージするジュエリーになっていたと思いますが、この個性的な形です。どのように仕立てていくのか?非常に楽しみになってきます。ただルビーを留める時に、どの部分を支点にして固定するのか?どういう形のプロング(爪)にするのか?職人泣かせの形ですが、世界にたった一つのジュエリーが出来上がるでしょう。そして何よりも1.44ct。100年後も200年後もリカット(再研磨)するだけの十分な結晶の生地が残っています。次の世代の研磨職人は、このモリスシンギュラリティカットを見てどう感じるのでしょうか?とても楽しみです。指輪に装着すると手の上の美術品…大自然の造形美、手に取ってご覧いただきたいと思います。