青味が少し強い色調と引き締まった感じのする透明度の高い結晶、ピンキッシュながら高い彩度の天然無処理で美しいミャンマー産ピンキッシュルビーは、最北部カチン州の中部にある幻のルビー鉱山ナヤン(Nam-Ya)で発掘された原石の生地を活かし、モリスシンギュラリティカットで磨きました。宝石品質判定のクオリティスケール上でみた場合、美しさ「A」輝きがあり美しいもの、そして色の濃淡は「#3⁻」、品質を3つのゾーンに分けた場合、ジュエリークオリティ(高品質)です。サイズは、縦4.0㎜/横3.0㎜/深さ2.2㎜、重さは0.22ctと大きくはありませんが、その形と彩度の高さによって存在感の非常に強いルビーです。さて、このピンキッシュルビーの形…シンギュラリティカットとは、これまでの既存の形に原石の生地を削って合わせるのではなく、その大自然の造形美である原石の形を尊重し、原石の生地に合わせて磨いていく、これまでとは、真逆の発想です。人間に宝石は作れません。今の化学技術的には、人工合成石をつくることができますが、しかし、人間が合成したものは、宝石の定義の一番大切な天然由来であるか?という部分でそもそもアウトです。人間がつくることができるものに、希少性は立証することができないからです。
130年前に「おフランスのルビー」として発売された人工合成石は、その当時、ミャンマー産ルビーよりも高く取引されていたそうです。しかし今では、そのルビーは1カラットあたり、2~300円です。宝石としての価値があるとは言えません。そして、人為的に加熱処理をして美しさを改良したモノも人工合成石と同じ末路を辿るでしょう。ブロックチェーンの技術を使って、希少性を電子信号、仮想の世界で発行数を限定して希少性を作り出す技術はありますが、それでも人間がつくったものでは、ルールが変われば結果が変わります。そもそも電気がダメになれば仮想空間での価値を立証することは不可能です。現物価値の強さは言うまでもありません。宝石は、人類最古の文化の一つと言われるぐらい古い歴史を持ち、時代を超えて受け継がれてきた文化です。モリスがシンギュラリティカットをしてなるべくルビーの生地を減らさないように努力する理由は、次世代にリカット(再研磨)することも考えているからです。