柔らかく優しい感じは、完全な真円ではないラウンド型にあるのかも知れません。少しおどけたプロポーションとは裏腹に、質の良い結晶の奥から湧き上がってくるキラキラとした、モザイク模様のバランスが素晴らしい天然無処理で美しいミャンマー産ルビーです。ミャンマー最北部、ヒマラヤ山脈麓に広がるホーステールと呼ばれるインドプレートとユーラシアプレートが接合しインドプレートが地下深くに潜り込んでいく部分、地下40㎞で奇跡的な環境で結晶した(接触変成岩起源)希少なルビーです。その原石は、沈み込んでいくプレートとは別に、ごく一部の隆起してくる地層にのって地表に出てきた場所が、ミャンマー北端カチン州、州都のミチナ―から、自動車で7時間程山岳地帯に入ったところにあるナヤンルビー鉱山で発掘されました。モリスが、2007年から2011年まで採掘をしていた鉱山です。今のような便利な時代になっても、日本から出かけると急いでも48時間ぐらいかかり、某テレビでは「世界最後の秘境」などと放映されていた場所です。さて、そのナヤン鉱山で産出される原石は、小粒で透明度が高い、そして自然の浸食作用で丸くなったものが多いのが特徴です。他の宝石の産地でも、他の宝石種でも漂砂鉱床はよくありますが、このナヤンが特別なのは、地下40㎞の深いところで結晶したルビーが地表まで上がってきたということです。その原石をヤンゴンにある研磨工房でラウンド型のミックスドカットに磨きました。ルビーとしては、かなりピンキッシュなので、キューレット側をブリリアントカット(ダイヤモンドでよく使われる形)ではなく、3段の角度の違うファセット(切子)面をつけたステップカットにしました。その方が、結晶の生地は少しでも大きく残せること、そしてピンキッシュの色調が力強く表現できます。サイズは、縦横3.5㎜/深さ2.3㎜、重さは0.23ctです。品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさは「A」輝きがあり美しいもの、そして色の濃淡は「#3」、品質を3つのゾーン分けた場合、ジュエリークオリティ(高品質)になります。