ラウンド型とオーバル型の中間的な形と慣れた人でないとルーペを使ってもインクルージョンを確認できないぐらい高い透明度の少し青味を感じさせる色調と高い彩度が特徴の天然無処理で美しいミャンマー産ルビーです。産出は、同国の中東部シャン州に囲まれたエリアにあるルビー鉱山モゴック(Mogok)です。サイズは、縦3.4㎜/横3.1㎜/深さ2.2㎜と縦横と深さのバランスが素晴らしく、フェイスアップで見たときに結晶の奥からキラキラとした輝きが湧き上がってきます。このルビーを宝石品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさは「A⁺」輝きがあり美しいものです。美しさについて、モリス社内でも「S」輝きがあり特に美しいものだとの意見がありました。美しさについては、透明度、色調、彩度、色むら、プロポーションを同時に観なければなりませんが、経験が必要な部分です。以前に、業界で宝石の査定をするときの基準をつくるためにプロが集まってそれぞれの要素を数値化しようとトライしました。美しさにかかわるそれぞれのの要素を数値化し、加算していく方法、平均値をとる方法…など約1年間議論を続けましたが、結論は出ませんでした。要するに、人によって透明度の高さを重視する人(これはダイヤモンドを多く見ている人に多かった特徴です)、色のついた宝石は色調だと主張する人、色むらを気にされない人、等々。業界のトップのプロが集まった会議でもハッキリとした結論が出ないわけですから、日頃から専門的に宝石を観ていない人であれば、とても難しいと思います。宝石業界の重鎮である諏訪恭一会長は、「美しさ」を観るときのコツは、「色とモザイク模様のバランスの良さ」だとおっしゃいます。私自身は、それが一番ルビーを観るときに正確だと思います。美しいルビーかどうか…それは、自らの眼を磨き続けるしか見分ける方法はないと思います。このルビーについては、色調の面でほんの少し青味がある部分以外は、ほぼパーフェクトであるためAに+をつけています。そして色の濃淡は「#4.5」、3ゾーンはJQジュエリークオリティです。お分かりだと思いますが、もしこのルビーが「S」であったとしても同じJQで価値判断は同じになります。そして付け加えておきたいのは、分析結果報告書、いわゆる鑑別書には、品質判定の肝の部分、美しさと色の濃淡については記述がありませんので、本物か偽物かは分かりますが、どのくらいの値段なのか?品質判定とは違うものです。