家計を託す指輪

家計を託す指輪

家計を託す指輪

あなたは知っていますか?結婚指輪の原点を、真実の意味を。

MORI’S BRIDALでは、指輪に込められた先人達のメッセージを読み解く「指輪88 四千年を語る小さな文化遺産たち(淡交社)」の中から、ブライダルリングの起源をシリーズでお伝えしていきます。第一回目は、家の金庫の鍵が指輪になったリング「婚約の証」のお話です。

古代ローマ時代の婚約のしるし

これは鍵のついた不思議な形の指輪です。実際に指にはめてみると、鍵がブランコのように自由に動くため、指に沿うようにフィットしますが、つけ心地はあまりよいとはいえません。指輪は銅と錫の合金である青銅(ブロンズ)製で、緑青で覆われています。緑青は銅が経年変化により酸化したものです。古代ローマ時代、婚約が成立すると男性は鍵のついたリングを女性に贈る習慣がありました。当時の衣服にはポケットがなかったため、鍵はいつも携帯していられるように指輪につけたのでしょうか。鍵つきの指輪は、家計の主導権を妻が持っていたことの象徴とみなされ1世紀から3世紀頃にかけて流行しました。鍵は貴重品が入った小箱などを開閉するために用いられたようですが、実用的な鍵つき指輪はローマ時代以降に姿を消します。

鍵の部分は折りたためます。

プリニウス(紀元23~79)『博物誌』では、婚約指輪は鉄製であったと書かれていますが、2世紀になると裕福な人々の間では、金が使われていたようです。青銅は錫の量を多くすると光沢のある黄金色になりますので、当時はこの指輪も金色に輝いていたことでしょう。◇出典(参考文献)RINGS 指輪88 四千年を語る小さな文化遺産たち(淡交社)

この記事を書いた人

服部店長
株式会社モリス
モリス京都三条本店 店長